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一個人の自己満ブログサイト女性向きの為、BL・801要素が殆どです。苦手な方はご注意ください。 初めての方はカテゴリーの「ご案内」にある「初めに。」の記事をお読みくださいませ。 取扱ジャンルは、DRRR!!/臨帝中心・帝人受けです。 また、各関連企業様、出版社様、原作者様とは、一切関係ございません。
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更新が滞っていてスミマセン。

アニメ見ました。新しいOPとEDも見ました。私的に凄く好みな曲でした。
そして、ウザヤさんのまさかのロシア語にうっかり、悶え死にそうになりました(笑)

漸く、帝人くんの誕生日話最終話になります。
予告どおり、臨帝になります。
もう、話の流れは読めると思いますが、ウザヤさんらしくしたつもりです。少しでも楽しんでいただけると幸いです。



そして、スパコミ参加する為今日から暫く原稿に向かいます。なので更新がストップする可能性が高いと思います。
ネタとか凄い短い物を上げるかもしれませんが。
このジャンルでも、1、2冊ほど発行するかもしれません。頑張って、臨帝と静帝の二つは書きたいです。
その時はまた書きます。


それでは、どうぞ。








何の為のシアワセ?



本日がもう少しで終わりを迎える、そんな時。ふらりと外に飛び出した少年は、不運にもいけない痛い人達に絡まれた。

「深夜にひ弱な少年が出歩くなんて、いけないなあー。」
「これも不運だと思って、お兄さん達にお金寄越せ。」

何とも古典的な展開に巻き込まれた。
いたいけな少年に寄ってたかって何するんだ、しかも一人に対して大勢かよ。そう、突っ込みながらも、どう打破しようかと思案していたら。


「うちの連れに寄ってたかって何の用?・・・つか、今すぐ散れ。」

タイミング良く現れた人物と、あまり嬉しくない再会を果たした。
恐怖を誘う響く声と怖い笑顔にビビる痛い集団にはご愁傷様と合掌しながらも、内心大いにげんなりとした。そして、蜘蛛の子を散らす様に退散していった姿を呆然と見送った。
不本意ながらも、この相手に助け出されたんだどこか他人事の様に頭の隅に掠めた。それと同時に、二人っきりになってしまいたすけて貰っておいてなんだが、とても気まずい気分に陥ってしまった。
だが、そんな心中など露知らず相手は軽やかな足取りで歩み寄ってくる。表情は至極機嫌が良い。
「どう、俺の華麗なる救出劇は。救世主だったでしょ。」
穴歌が毀れそうな上機嫌ぶりに、帝人は深い溜息を付いた。
「ただの通りすがりじゃないですか。というか、アンタが救世主って言葉使うだけで違和感がします。」
「でも、結果オーライじゃない?」
会話が噛み合ってない、という突っ込みはこの際飲み込むことにした。ただ、言いたい事柄は口にしようとした。
「そのポジティブ思考、どうにかなりません?」
「無理だよ、これが俺だから。」
「あっそ」
冷たくあしらったつもりだが効き目は無くあっさりスルーされるものだから、もう呆れるしか他無かった。
ああもう、厄日だ。こんなのだったら、家出大人しくしてれば良かったのかも。
今更ながらの後悔の念と少しばかりのしこりに、頭を抱えた。此処で逃げれば根源は絶たれるだろうが、なんせ目の前の相手を前に逃げ切れる自信は悲しいかな、微塵も無く。
仕方なく、向き合う覚悟を決めた。

ぽたりぽたり、何かが降り積もる。心の底に溜まる、沈殿物。

「仕事帰りですか?臨也さん。」
「まあ、そんなとこ。」
「へえ。」
「何、気にな――」
「なりません!」
棒読みな返事だったのに関わらず都合の良い変換をされ、すかさず遮った。
このままでは、相手のペースに飲み込まれてしまう。
危機感を感じ、一拍置く為に深呼吸をした。そして、平常心を取り戻す。

大丈夫、まだ平気。
(ナニガ?)

「一応、御礼は言います。助けて下さってどうも有難うございます。」
「どういたしまして。」
棒読み、だったんですけど。
怪訝になる所か、上機嫌に返事が返ってきた。
「帝人君からの言葉なら、何でも嬉しいよ。」
心中を読み取った様なセリフが降ってきた。

ぽたり、大きな波紋が広がる。ざわつかせる。
それは、波立たせ感情へと伝達していく。

感情が制欲しようとする理性に追いつけない事は理解していた。が、止まらない。止められない。
(ホントウニ?)
俯き、手を握り締める。絶えろ、絶えろと呪文の様に呟く。

「どうかした?」
だが、その封印をいともあっさりと突破された。雁字搦めの鎖が砕ける音が何処かで帝人は聞いた。

半ばやけくそだった。

「だったら。」
「ん?」
「幸せって、何なのか答えてくださいよ。」

顔を上げ思いっきり睨みを利かせ、吐き捨てる様に言う台詞。
月夜の下で、二人分の影が伸びる。都会とは思えない静けさが冷たさを一層引き立てる。
風が吹き抜けると同時に、不意に不機嫌のまま帝人から顔を逸らした。だからその様子を見て、相手が目を眇めた事に気が付かなかった。

ピンと張り詰めた様な、何処か危うい空気が支配していた。

「何だ、そんな事?」
ポツン、放り投げるような言い回しに流石にカチンと来た。毎度小馬鹿にされる事は毎度の事だが、今の状況とは勝手が違っていた。
「何ですか?馬鹿にしたいんですか?」
人の気も知らないで。そう思いっきり罵倒したかった。だが、それが出来なかったのは直ぐに否定の言葉で遮られたから。
「いや、そうじゃないよ。」
どういうつもりだろうか。
疑わしい視線をチラリと投げ寄越すと、肩を竦めてそんな構えなくても大丈夫だ、と余裕たっぷりに笑った。
宥められている様な感覚に、帝人の心は少しばかり落ち着きを取り戻した。

ただ、ちらりと沈殿物は少し落ちていく。
幸せ、シアワセ、それは、ナニ?ドンナモノ?

訳も分からない、焦燥が静かにせめぎ立てる。


「それこそ、幸せってそれぞれのモノじゃない?」

思わぬ落ち着いた言葉が、静かに雫を落とす。

「まあ逆に、不幸っていうのは人間は直ぐにでも気付くけど、」
波紋が広がり、何処までも広がり騒ぐ小波を抑えていく。
「幸せって中々気付かないものじゃないかなあ。」
思わぬ落し物が、沈殿物を浄化させていく。
「だから、帝人君は、所謂見逃しがちになっているだけじゃない?本当はもう手にしてるんじゃない?」
綺麗なものではなく、ただ有りの儘の言葉。
「気付かない振りしているだけなんだろうなあ。それじゃあ、勿体無いと思わないじゃないか。」
何気なく言う、綺麗なものではなく、ただ有りの儘の真実の言葉が、柔らかく突き刺さる。

痛みは感じない。ただ、前を向くだけのほんの些細な勇気を催促する。
あがらう事無く顔を緩慢に上げる。いつも通りの相手の顔が見えた。

それだけ、だた、それだけなのに、何故か安心した。

「それに、どんな人間でも生きている限り、シアワセを手に出来ない事は無いんだしね。」
だから、ニンゲンは愛おしいんだよね。
口角を上げて告げる。暫し、瞠目し何度も瞬かせる。
「・・・うわ」
「どうかした?」
首を傾げる相手は、到底先ほどの台詞を言った様な人物には見えなかった。だから余計に、皮肉を言いたくなった。
「真面目な事を言ってる。」
「おもいっきり馬鹿にされてる気がするんだけど?」
「そう思わせているのは、何処のどなたですか?」

まさか、こんな人物に指し示されるとは思わなかった。期待して無いだけに、意外過ぎて悔しさがある。
それでも、と思った。

「んー、俺だね。」
笑みが毀れる。口元が緩まるのが止められない。

もう、沈殿物が、殆ど姿を消していた。小波は立たなくなり、静かな静寂を取り戻した。
後に残ったのは、すっきりした感情と不思議な満足感。

どうしてかは、まだ分からないまま。

「すみません、八つ当たりしちゃいましたね。」
軽く頭を下げ謝罪をすれば、相手は吃驚した表情をした。そして、噴出すように笑う。
「君が素直なんて珍しいね。」
「臨也さん、殴られたいですか?」
「帝人君なら大歓迎ー」
「うっざああああ!!!」
がばりと抱きつこうとしたので、容赦なく叩き落とした。しかし、めげずに再度仕掛ける相手に逃げ出す。
月明かりが作り出す影が、踊り出す。ダンスをする様に、戯れる影。


形無き、幸せ。
それは、酷く不安定で欲しくて。

大事にしたいもの。


帝人が必死に逃げるものの、顔は満更でも無い様に弧を描いていた。
彼が捕まるまで、数秒後。

「おめでとう。」

そして、祝福されるまで、数十秒のちの話。


それは、欲しかった、カケラ・・・かもしれない。

***
最後まで有難う御座いました。

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